物語の火蓋は、四ノ塚小学校元6年2組の同窓会に集まった27名の生徒たちが、廃校となった学び舎に監禁された瞬間から切って落とされます。首謀者である夢崎みきおの目的は、単なる快楽殺人や復讐ではありませんでした。彼が執着したのは「極限状態において、人間はどこまで善性を保てるか」という冷酷な社会心理実験でした。
みきおはクラスメイトたちに様々な残酷な試練を課し、恐怖、空腹、猜疑心によって友情やモラルを剥ぎ取っていきます。徐々に露呈する過去のいじめ、裏切り、保身のための告発。平和だったはずの学級崩壊の記憶が蘇り、生徒たちはお互いを疑い、殺し合うスパイラルへと堕ちていきました。
しかし、事件の最大の黒幕は夢崎みきお単独ではありません。みきおの人格と異常な実験衝動を背後から形作っていたのは、彼の母親であり高名な心理学者・夢崎亜紗子でした。亜紗子は幼少期からみきおを自らの心理実験の被験者として扱い、「人は善意だけで生きられない」「極限の悪意こそが人間の真実」という歪んだ認知を植え付け続けたのです。みきお自身もまた、母親という絶対的な支配者が施した「実験の産物」に過ぎなかったという二重構造が、この作品に底知れぬ恐怖を与えています。
さらに読者に衝撃を与えたのが、みきお自身の退場劇です。デスゲームの主催者でありゲームマスターであったみきおは、物語の終盤を待たずしてクラスメイトの手によって命を奪われます。支配者を失えばゲームは終わるはずでした。しかし、すでに植え付けられた不信と狂気の種は自走を始め、みきおの死後こそが最も凄惨な殺し合いへと発展するという、予測不能な結末を迎えることになります。