沖縄タコスの歴史を語る上で、1956年に誕生したコザ(現・沖縄市)の老舗を避けて通ることはできない。創業者である勝山勝一がオープンさせた「チャーリー多幸寿」は、米軍基地のゲート通り周辺で米兵向けに提供されていたテクス・メクス料理を、日本人の繊細な味覚に合わせて再構築したパイオニアだ。
当時、勝山は米軍基地でコックとして働いていた経験を活かし、トウモロコシ特有の青臭さを抑え、小麦粉をブレンドしたオリジナルの皮を開発した。具材も牛ミンチだけでなく、チキンやツナを取り入れ、多様な客層の胃袋を掴んでいく。戦後復興期の混沌としたエネルギーの中で生まれたその味は、やがて米兵だけでなく地元ウチナーンチュの舌を魅了し、島全体へと広がっていった。