ウォルト・ディズニー・スタジオが手がけた実写版『リトル・マーメイド (2023年の映画)』において、主人公アリエルのプレミアム吹替版声優に抜擢されたニュースは、日本中の映画ファンと演劇界に大きな衝撃を与えた。オリジナル版で主演を務めたハリー・ベイリーの魂を揺さぶる歌唱に誰が対峙できるのか——そんな業界の懸念を、彼女は一瞬で吹き飛ばした。
オーディションの現場では、ディズニー音楽の巨匠アラン・メンケンが監修に関わる極めて高いハードルが設定されていた。名曲「パート・オブ・ユア・ワールド」を歌い上げた彼女のテイクを聴いた制作陣は、その場ですぐに息を呑んだという。未知の世界を希求する切実さと、水面を突き抜けて広がるような透明感。単なる模倣ではなく、キャラクターの鼓動そのものを宿した歌声が、世界最高峰のクリエイター陣の心を完全に射止めた瞬間だった。