作品の根幹をなす人間模様は、かつてないほど濃密な相関関係を描いている。見た目は子供、頭脳は大人の主人公・江戸川コナンを中心に、彼を取り巻く陣営は大きく分けて4つの極に分類できる。すなわち、正体を隠しながら事件解決にあたるコナンとその協力者、黒ずくめの男たちからなる「黒の組織」、アメリカから密かに侵入し組織を追う「FBI(アメリカ連邦捜査局)」、そして日本独自の安全保障を担う「警察庁警備局警備企画課(公安)」である。
これら4大勢力が一筋縄ではいかないのは、各陣営のあいだに幾重もの二重スパイや極秘の協定、さらには個人的な怨恨が複雑に絡み合っているからだ。例えば、黒の組織に潜入していた過去を持つスナイパーの赤井秀一と、公安の精鋭として組織の内部を探る安室透(降谷零)の対立関係は、単なる正義対正義の衝突に留まらない。そこには過去の潜入捜査中に起きた悲劇的な誤解という、深い愛憎が刻み込まれている。