赤と青を混ぜると何色?紫の常識を覆す光と絵の具の驚きの色彩学

赤と青を混ぜると何色?紫の常識を覆す光と絵の具の驚きの色彩学

赤と青を混ぜると何色?紫の常識を覆す光と絵の具の驚きの色彩学についての疑問解決ガイドをお届けします。

私たちが日常で目にする「色」の混色には、物理的にまったく異なる2つの原理が存在する。絵の具や印刷インクの世界を支配するのは「減法混色」だ。シアン、マゼンタ、イエローの三原色(CMYK)をベースとするこの仕組みでは、塗料を重ねるほどに光の反射が遮られ、波長が吸収されて明度が落ちる。そのため、赤と青の絵の具を1対1で混ぜると、光量を奪われた暗い青紫やシアン寄りの紫色に沈んでいく。

一方、加法混色(RGB)と呼ばれる光の世界は正反対の挙動を示す。レッドとブルーの光源を重ねると、二つの光のエネルギー線束が合算され、より明るいマゼンタへと化けるのだ。印刷・出版業界で長年培われてきたCMYKの経験則と、グラフィックデザイン業界が主戦場とするRGB環境。両者の決定的な差を理解しないままデータをやり取りすれば、画面上の鮮烈な色彩が印刷物でくすんだ紫に変貌するというトラブルが容易に勃発する。

さらに、混色比率による変化も見逃せない。赤を7割、青を3割に調整すると、絵の具では暖かみのある赤紫(バーガンディ風)に寄るのに対し、光の混色では華やかな赤紫系のピンクへと飛躍する。わずかな比率のブレが印象を大きく変えるこの現象こそ、現代の表現者が真っ先に向き合うべき命題だ。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。