過酷な切断手術と肉体改造の激痛に耐えるため、浩平は軍医から大量のモルヒネを投与され続けました。その結果、重度の薬物依存症に陥り、彼の精神は現実と妄想の境界を失っていきます。
薬効が切れると激しい禁断症状と幻肢痛に苛まれ、薬が回ると死亡したはずの洋平が目の前に現れて語りかけてくる――。この幻覚描写は、単なるグロテスクな描写にとどまらず、作中屈指のシュールなギャグシーンとしても機能していました。
鶴見中尉に騙され、他人の耳を「洋平の耳だ」と渡されて歓喜する姿や、義足から弾丸を誤射して自爆しかける様子など、悲劇と喜劇が紙一重で同居する描写こそが、二階堂浩平というキャラクターの特異性を決定づけました。