二人の馴れ初めは、佐藤さんが役者の道を志した20代半ばまで遡ります。信州大学経済学部を卒業後、大手リクルートのグループ会社に入社するも、初日で「自分にはサラリーマンは向いていない」と悟り、わずか入社数日で退職してしまったエピソードは有名です。
その後、親の反対を押し切って役者を志し、倍率の高い劇団青年座の研究所に入所。そこで出会ったのが現在の奥様でした。当初は友人関係でしたが、演劇に対する情熱や飾らない人柄に惹かれ合い、自然な流れで交際へと発展します。そこから同棲生活がスタートしたものの、佐藤さんは劇団青年座の準劇団員オーディションに落選。フリーの役者として、風呂なしアパートでアルバイトに明け暮れる暗黒期へ突入します。
月収が数万円にも満たない時期、経済的にも精神的にも佐藤さんを支え続けたのが彼女でした。佐藤さんは自著やメディアのインタビューで、「自分がいつ芽が出るかも分からない男を、彼女は一度も責めることなく『二朗さんは面白いから大丈夫』と励まし続けてくれた」と明かしています。交際が8年に及んだ2003年、34歳になった佐藤さんは劇団「ちからわざ」を立ち上げ、徐々に映像作品への端役出演が増え始めたタイミングで、ついにけじめのプロポーズを決意しました。
華やかなセレブ婚とは対極にある、泥水をすするような下積みを共にした8年間。この純愛の歴史があるからこそ、現在の辛口なやり取りの中にも、決して揺らぐことのない絶対的な信頼が通底しているのです。