爪自体には血管が通っていませんが、爪のすぐ下にある「爪床(そうしょう)」という組織には毛細血管が網の目のように張り巡らされています。外部からの衝撃や継続的な圧迫を受けると、この毛細血管が破綻して出血し、硬い爪甲と爪床の間に血液が閉じ込められます。これが足の爪の内出血(爪下血腫)が発生する生体力学的メカニズムです。
特に自覚がないのに内出血が起きる代表的な契機が、運動や歩行時の負荷です。市民ランナーや長距離ウォーカーの間では頻発するトラブルであり、ランニングで足の爪が内出血する主な原因は、着地時の前方への足滑りや、下り坂で爪先が靴の内側に繰り返し衝突する「マイクロトラウマ(微小外傷)」にあります。1歩あたりの衝撃はわずかでも、数千歩〜数万歩の累積によって毛細血管が破綻します。
また、患者から頻繁に寄せられる疑問が「足の爪の内出血が痛くない理由」です。受傷直後であっても、出血量がごくわずかで爪床の内圧が上がっていない場合、神経受容体への刺激が少なく痛みを感じません。さらに、出血から数日が経過すると血液が凝固して組織の炎症反応が沈静化するため、見た目は黒紫色のままでも無痛の状態で経過します。