ヘラジカを目の当たりにした人々が最初に覚える感情は、畏怖に他なりません。生物学上の分類ではシカ科シカ亜科ヘラジカ属に属しますが、私たちが日常的に想像するシカとは完全に一線を画すサイズ感を誇ります。
成体オスの肩高(地面から肩までの高さ)はおよそ1.4m〜2.3m、体長は2.4m〜3.1mに達します。頭部を上げた立ち姿や頭上に広がる巨大な角まで含めると、全高は容易に3m〜3.5mに達します。大柄な成人男性(身長180cm)が真横に並んだとしても、人間の頭部がヘラジカの胸元から肩の関節あたりに位置するに過ぎません。人間との比較において、まさに「見上げる大型重機」のような威圧感を与えます。
体重の記録も群を抜いています。一般的なオスの平均体重は450kg〜650kg程度ですが、アラスカやカナダ北部に生息する亜種アラスカヘラジカ(Alces alces gigas)では、公式記録として体重825kgに達する超巨大個体が報告されています。メスであっても300kg〜500kgに達し、軽自動車(車両重量約650〜900kg)に迫る質量が四本の脚で歩行している状態です。
海外の住宅街や幹線道路で撮影された実物大の写真・画像がネット上でたびたび「コラ画像ではないか」と騒然となる理由は、この並外れた高身長と体質量が日常の人工物(標識やSUV)のスケール感を完全に狂わせてしまうためです。