能町みね子氏のバックボーンは、極めて知性的でありながら反骨心に富んでいます。本名は公表していませんが、北海道生まれ・茨城県牛久市育ちで、県内屈指の進学校である茨城県立土浦第一高等学校から難関国立大である東京外国語大学外国語学部ペルシア語学科へ進学・卒業した経歴を持ちます。
幼少期から抱えていた身体の性別への違和感に終止符を打つべく、20代半ばで単身タイへ渡り性別適合手術(SRS)を受けました。帰国後に家庭裁判所の手続きを経て戸籍上の性別を女性へと変更。一般企業でOLとして勤務する傍ら、自身の体験をユーモアと客観的視点を交えて描いたブログが開設されます。
このブログが大きな反響を呼び、2006年に『オカマだけどOLやってます。』として書籍化され作家デビューを果たしました。性的マイノリティの苦悩を過剰に悲劇化せず、かといって安易な笑いにも逃げない、冷静で解像度の高い筆致は当時の文壇・メディア界に新鮮な衝撃を与えました。