バラエティ番組の最前線でMCやパフォーマーとして君臨していたタレントの突然の休養は、芸能界の働き方に一石を投じる契機となりました。なかでも社会的な関心を集めたのが、ネプチューンの名倉潤とナインティナインの岡村隆史のケースです。
名倉潤は2018年に頸椎椎間板ヘルニアの手術を受け、手術自体は無事に成功したものの、翌2019年に約2ヶ月半の休養に入りました。公表された理由は「手術の侵襲によるストレスが原因のうつ病」でした。外科手術に伴う身体への強い侵襲(ダメージ)が、自律神経や脳の伝達物質に悪影響を及ぼし、精神的な不調を引き起こすというメカニズムは、一般にはあまり広く知られていませんでした。所属事務所が病名を曖昧に濁さず「うつ病」と明記し、妻である渡辺満里奈の献身的な支えを受けながら早期の治療専念を選択した対応は、医療関係者からも高く評価されました。
一方、2010年に約5ヶ月間にわたる長期休養を余儀なくされた岡村隆史のケースは、極度の過労とプレッシャーが脳を限界まで追い詰めた典型例です。主演映画の公開、舞台の稽古、レギュラー番組の収録が重なり、睡眠時間が極限まで削られていた当時、岡村は「頭がショートして寝られない」「自分がどう振る舞えばいいか分からない」という過覚醒状態に陥っていました。相方の矢部浩之に対して「オレ、お金ないねん」と訴えるなど、客観的な事実とはかけ離れた妄想的言動が見られたことで、周囲が異常を察知して即座に入院・休養の手続きが取られました。
復帰後の番組内で岡村は、「当時は自分が病気であることすら認識できず、ただ恐怖に支配されていた」と明かしています。病院で適切な治療を受け、仕事を完全に忘れて過ごした数ヶ月間を経て、彼は「自分の弱さを認め、周囲に頼る」という生き方へとシフトしていきました。