中村屋の歴史を紐解くと、日本の演劇史そのものといえる絢爛豪華な血脈が浮かび上がります。
祖父は昭和の名優・十七代目中村勘三郎、父は歌舞伎界の風雲児として一時代を築いた十八代目中村勘三郎(前名:五代目勘九郎)。母・波野好江は七代目中村芝翫の次女であり、血縁・親戚関係には成駒屋をはじめとする錚々たる名門が連なっています。
勘九郎の役者人生における大きな転換点となったのが、2019年のNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』での主演(金栗四三役)でした。「日本で初めてオリンピックに参加した男」を演じ切るため、過酷な肉体改造とマラソントレーニングを完遂。視聴率の枠を超え、熱心なドラマファンや劇評家から「魂の宿った怪演」と絶賛を浴びました。この経験が、伝統の枠に安住しない「役者・中村勘九郎」のスケールをさらに押し広げたことは明白です。