「どうせ台本があるんでしょう?」「告白する相手は制作陣に決められているのでは?」というやらせ疑惑は、リアリティショーというジャンルが誕生して以来、常に付きまとうテーマです。ネット上での懐疑的な声に対し、報道関係者や元出演者への取材から見えてくる「現場の実像」は、白か黒かという単純な二元論ではありません。
「台本(スクリプト)」は存在しないが「演出(シチュエーション)」は厳密に設計されている
結論として、「誰が誰に何分何秒に告白する」「このセリフを言う」といった一言一句を指示する台本は存在しません。そんな作為的な台本を作れば、出演者である素人や若手タレントのぎこちなさが画面に出てしまい、視聴者に見破られてしまうからです。
しかし、「作為のない完全な自由行動」かといえばそれも異なります。現場では以下のような周到な演出設計がなされています。
- 心理を誘導するシチュエーション設定:「気になる相手を指名して観覧車に乗る」「2人きりで夜景が見える孤島に移動する」など、ロマンチックな錯覚を起こしやすい舞台装置を用意する。
- スタッフによる個別インタビューでの壁打ち:「〇〇くん、さっき××ちゃんが他の男子と話していたとき、どう思った?」「悔しくなかった?」と質問を重ねることで、出演者自身の中に眠っていた嫉妬や好意の感情を自覚・増幅させる。
- 編集による文脈の構築:数十時間に及ぶロケテープから、特定の視線や仕草を切り取り、ドラマチックなBGMとテロップで「恋の三角関係」としてストーリーを編み上げる。
炎上騒動の引き金となる「悪編(悪意ある編集)」問題
ネット上で出演メンバーが激しい誹謗中傷に晒される炎上劇の多くは、この「演出」と「視聴者のリテラシー」の摩擦から発生します。番組の盛り上がりを狙って特定出演者の強気な発言や迷いの表情を過剰にフォーカスした結果、SNS上で「あざとい」「性格が悪い」と猛烈なバッシングが起こる現象です。近年は制作陣もメンタルケア専門スタッフを導入するなど対策を強化していますが、リアリティを追求する演出と出演者の保護という命題は、いまなお重い課題として残されています。