発症から完全治癒に至るまでのロードマップを把握しておくことは、患者の不安を和らげる上で欠かせません。亜急性甲状腺炎 治療経過詳細まとめとして、病態は大きく3つのフェーズをたどります。
第1フェーズは「甲状腺中毒期(発症〜約1〜2カ月)」です。組織破壊が進み、激しい頸部痛、発熱、動悸、多汗がピークに達します。第2フェーズは「一過性甲状腺機能低下期(発症後2〜4カ月)」です。蓄積されていたホルモンが枯渇し、破壊された細胞の再生が追いつかないため、今度は逆にホルモン不足に陥ります。この時期には「寒気、むくみ、無気力、便秘」といった真逆の症状が現れますが、これは体が治癒に向かっている証拠であり、一時的な現象です。そして第3フェーズの「機能正常化・治癒期(発症後3〜6カ月)」へと移行し、濾胞細胞が完全に再生してホルモン分泌は正常に戻ります。総合的に亜急性甲状腺炎が治るまでの期間は、標準的な経過でおよそ2〜3カ月、完全にホルモンバランスが整うまでを含めると3〜6カ月が目安となります。
薬物治療においては、炎症の重症度に応じた使い分けが基本です。痛みが軽度で微熱程度であれば、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs:ロキソプロフェン等)を毎食後服用しながら経過を観察します。しかし、高熱が続く場合や激痛で食事が摂れない中等症から重症例に対しては、亜急性甲状腺炎 ステロイド プレドニン治療が第一選択となります。
プレドニゾロン(プレドニン)は通常、初期量として1日15mg〜20mg(重症例では30mg)から開始されます。ステロイドの効果は極めて劇的で、服用開始からわずか24〜48時間以内にそれまでの激痛や高熱が嘘のように消失します。患者はこの劇的な改善に歓喜しますが、ここに最大の落とし穴が存在します。
症状が消えたからといって自己判断でステロイドの服用を中断したり、急激に薬を減らしたりすると、くすぶっていた炎症が瞬く間に燃え広がる「再燃(リバウンド)」を高頻度で引き起こします。治療の鉄則は、血液検査で炎症反応やホルモン値を確認しながら、2週間ごとに5mgずつなど、数週間から2カ月以上かけて慎重に減量(テーパリング)していくことです。また、中毒期に見られる激しい動悸や手の震えに対しては、ステロイドと並行して交感神経の興奮を鎮めるβ遮断薬(プロプラノロール等)を併用することで、速やかに苦痛を取り除くことが可能です。