映画『アイアンマン』の結末において、トニー・スタークが記者会見で「私がアイアンマンだ(I am Iron Man)」と言い放った直後、暗転とともに唸りを上げるのがブラック・サバスの『アイアン・マン(Iron Man)』です。「I am Iron Man」という加工されたヴォーカルから始まるこの曲は、1970年発表の名盤『Paranoid』に収録されたヘヴィメタルの古典です。
興味深いことに、オジー・オズボーンらが手がけた原曲の歌詞は、未来にタイムトラベルして人類の破滅を目撃した男が、警告を無視された末に復讐者となるという悲劇的なSFストーリーであり、マーベルのコミックとは直接の関係がありませんでした。しかし、アイアンマンというアイコンが持つメタリックな重厚感と宿命的な影を表現する上で、これ以上の楽曲は存在しなかったといえます。
さらにシリーズ第2作『アイアンマン2』では、トニーのトレードマークとしてAC/DCの『シュート・トゥ・スリル(Shoot to Thrill)』が大々的にフューチャーされました。輸送機からダイブし、花火が打ち上がるスターク・エキスポの特設ステージへ着地するシーケンスは、まさにロック・フェスのヘッドライナーそのもの。この選曲が観客の興奮を最高潮に高め、トニー・スタークというヒーローの「ショーマンシップ」を決定づけました。