チーム内で最も勝利数を挙げている投手が、必ずしもエースと呼ばれるわけではありません。現場の首脳陣や現役選手の間では、「エース」「主戦投手」「守護神(クローザー)」の間には明確な一線が引かれています。
主戦投手とは、先発ローテーションを堅実に守り、規定投球回をクリアしてシーズン通して計算が立つ先発陣の柱です。これに対し、エースには「勝敗の質」が求められます。具体的には「大型連敗を止める登板」「相手のエースとの直接対決に投げ勝つこと」「味方打線が1点も取れない重苦しい展開で先に失点しない忍耐力」が課されるのです。
高校野球におけるエースの特徴は、プロ以上にチームの命運を一手に背負う点にあります。トーナメントの一発勝負において、ベンチからの伝令を待たずにマウンド上で内野陣を集めて声をかけ、自らのバットでも決勝打を放つような牽引力は、まさに部員全員の精神的支柱そのものです。