2026年現在、生成AIは数秒で文法的に完璧な五・七・五を吐き出すことができる。文脈に合った季語を選び、綺麗に整えられた句を作るのはAIにとって造作もない。
だが、そこに「汗のにおい」はあるだろうか。突発的な雷雨に打たれて笑ってしまった瞬間の高揚感や、冷房の効きすぎた部屋で抱く一抹の寂しさは、データの中には存在しない。俳句愛好家の間では今、あえてAIには真似できない「不均整で、生々しい人間の生活実感」を詠み込む試みが評価を高めている。
巧みな言い回しよりも、自分だけの素直な一瞬。それこそが、AI全盛の時代に人間が俳句を詠む最大の意義となっている。