京都ラーメンの歴史を紐解くと、澄まし汁や出汁文化の表層とは裏腹に、濃厚で力強いスープを愛好する特異な土壌が浮かび上がります。その系譜の中で、中華そば いいちょ 京都の名を不動のものにしているのが、豚骨と鶏ガラを寸胴で極限まで炊き込み、キレのある濃口醤油ダレを合わせた「背脂醤油スープ」です。表面を覆う細かな背脂の粒がスープの熱を閉じ込め、最後の一滴まで熱々の状態で旨味を口腔内へと届ける設計になっています。
一見すると凶暴なまでの濃厚さを想像させますが、レンゲでスープを口に含んだ瞬間に広がるのは、脂の甘みと醤油ダレの心地よい酸味、そして奥深いコクの調和です。ギトギトとした重さは一切なく、後味は驚くほど軽快に抜けていきます。この「重厚さとキレの両立」こそが、老若男女を問わず地元住民が週に何度も足を運ぶ最大の要因です。スープに絡む中細ストレート麺は、スープの持ち上げが計算されており、噛みしめるたびに小麦の香りと動物系エキスの旨味が口いっぱいに弾けます。