岩手県立美術館を訪れた者がまず圧倒されるのが、洗練された直線と自然素材が織り成す建築美です。設計を担当したのは、日本を代表する組織設計事務所・日建設計。盛岡中央公園のなだらかな地形と呼応するように配置された低層のフォルムは、周囲の景観を遮ることなく優雅に佇んでいます。
エントランスを抜けると、天井高約10メートルの開放感あふれる「グランドギャラリー」が来館者を迎えます。地元産の厨川石(くりやがわいし)や無垢の木材をふんだんに配した大空間には、大きなガラススクリーンから柔らかな自然光が降り注ぎ、時間の移ろいとともに館内の表情が劇的に変化します。天気の良い日には、ガラス越しに岩手の霊峰・岩手山を美しく望むことが可能です。
屋外の彫刻展示広場や庭園には、舟越保武をはじめとする彫刻作品が点在。屋内での鑑賞体験と盛岡の風土を感じる散策がシームレスにつながる構造となっており、空間心理学的にも鑑賞者の知的疲労を適度に癒すリフレッシュ効果が計算されています。