金曜の夜、日本中が息を呑んで画面を見つめていた。TBSテレビが世に送り出した『最愛』は、単なる連続殺人事件の枠組みを軽々と飛び越え、人間の業と無償の愛を描き切ったサスペンスドラマの金字塔だ。主演を務めた吉高由里子の濡れた瞳、張り詰めた空気感。彼女が演じる実業家・真田梨央の儚さと強さは、観る者の胸を容赦なく締め付けた。
殺人事件の重要参考人となったヒロインと、彼女を追う刑事となった初恋の相手、そして彼女をあらゆる手段で守り抜こうとする弁護士。幾重にも重なる嘘と真実が交錯する極上のミステリーでありながら、物語の根底に流れるのはどこまでも純粋で痛切な情愛だった。宇多田ヒカルによる主題歌のイントロが流れる瞬間、視聴者は登場人物たちが背負った過酷な運命の目撃者となったのである。