ネットやSNS上では「世帯分離をすれば国保が安くなる」「住所を別の市町村に移せばいい」といった過激な言説が散見されますが、これらには重大な落とし穴が存在します。不正確な知識による見直しは、かえってトータルコストを増大させかねません。
まず「世帯分離」の真偽についてです。住民票上の世帯を分けることで所得割の計算が分散され、低所得側の均等割軽減が受けられる場合があります。しかし、世帯ごとに課される「平等割」がそれぞれに発生する自治体では、かえって世帯全体の合計請求額が増加するリスクがあります。また、後期高齢者医療制度や介護保険サービスを利用している世帯では自己負担上限額の兼ね合いで複雑な損得が発生するため、安易な分離は危険です。
一方で、実効性が極めて高い合法的な対策として注目されているのが以下の2つです。
文美国保など「職能別国民健康保険組合」への加入
デザイナー、イラストレーター、ライター、建築業、美容業など特定の業種に携わる個人事業主は、市区町村の国保ではなく、業種ごとの「国民健康保険組合(文芸美術国民健康保険組合など)」に加入できる場合があります。一般的な国保と異なり、多くの職能国保は「所得に関わらず保険料が定額」に設定されています。前年の事業利益が大きく伸びたクリエイターなどは、自治体国保から職能国保へ切り替えるだけで、年間の支払いを半減以下に圧縮できるケースが多々あります。
マイクロ法人を活用した社会保険料削減スキーム
事業規模が拡大した個人事業主の間で定着しつつあるのが、資産管理や一部の別事業を担う「マイクロ法人(1人会社)」の設立です。個人事業主としての利益はそのまま青色申告で維持しつつ、マイクロ法人側から自分に対して月額数万円程度の極小の役員報酬を支払います。これにより、法人の社会保険(健康保険・厚生年金)に強制加入させ、最低ランクの標準報酬月額で保険料を固定化します。結果として高額な自治体国保から完全に脱退し、扶養家族も含めた健康保険料を年間数十万円単位で圧縮する高度な節税・社会保険料削減策として機能します。