ボカロ『砂の惑星』歌詞の意味と炎上の真相|米津玄師が放った警告の正体

ボカロ『砂の惑星』歌詞の意味と炎上の真相|米津玄師が放った警告の正体

ボカロ『砂の惑星』歌詞の意味と炎上の真相|米津玄師が放った警告の正体に関する専門家の意見を丁寧に解説いたします。

砂の惑星の歌詞の意味を紐解く上で、随所に散りばめられたメタファー(暗喩)の解釈は避けて通れません。南方研究所が手がけたミュージックビデオのアニメーションとともに、歌詞は極めて緻密な二重構造を持っています。

楽曲冒頭の「何もない砂場 飛び交う雷鳴」や「草木も生えない 砂の惑星」というフレーズは、2009年から2012年頃にかけて巻き起こった爆発的なボカロブームが落ち着き、かつての熱気や新規クリエイターの流入が鈍化していた当時のプラットフォーム(ニコニコ動画)の現状を生々しく描写しています。

「壊せ思い出し笑いのランデブー」「昔話に花を咲かせる連中」という刺激的な言葉は、過去の黄金期の名曲ばかりを懐古し、前進を止めてしまったコミュニティへの痛烈な皮肉です。当時の音楽メディアのロングインタビューにおいて、米津玄師本人は次のように心境を明かしています。

「依頼を受けてニコニコ動画を久しぶりに見に行ったら、自分が熱中していた頃の景色とはまるで違っていて、砂漠のように見えた。その実感に嘘をついて綺麗な祝祭曲を書くことはできなかった」

しかし、この楽曲の真価は単なる冷笑や批判に留まりません。楽曲の終盤に登場する「砂漠に林檎の木を植えよう」という一節は、宗教改革者マルティン・ルターの言とされる「明日、世界が滅びようとも、私は今日林檎の木を植える」という名言を想起させます。

「あとは誰かが勝手に植えるだろう」という結びの言葉には、一度焼け野原になったとしても、本当にカルチャーを愛する次世代の才能が新たな種を蒔き、新しい森を育ててほしいという、逆説的で強烈なエールが込められていたのです。

井上 凛
著者

井上 凛

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。