2010年代半ばから現在に至るまで、箱根駅伝の主役であり続けているのが青山学院大学と駒澤大学です。両校の指導アプローチは対照的でありながら、結果として学生長距離界全体の水準を世界レベルへと引き上げました。
青山学院大学の原晋監督が打ち出したのは、ビジネス界の目標管理手法を応用した「自己管理型・プレゼン型組織」です。選手自らが目標を言語化し、箱根の特殊区間(特に5区の山上り、6区の山下り)に特化した適性を早期から見極めて育成するシステムを確立しました。特筆すべきは復路の選手層の厚さであり、総合タイム10時間41分25秒という驚愕の大会記録を叩き出した第100回大会のように、他校の追随を許さない単独走の強さを誇ります。
対する駒澤大学は、大八木弘明総監督が築き上げ、藤田敦史監督へと継承された「世界水準の泥臭いロード強化」が根幹にあります。田澤廉選手や佐藤圭汰選手といったトラックでも日本代表クラスの逸材を育て上げ、個の走力を最大限に高めた上で駅伝に還元する手法です。全日本大学駅伝や出雲駅伝を含めた学生3冠を達成するなど、圧倒的なスピードとタフネスを両立させています。
両雄の激突によって、かつては「1キロ3分ペース(20kmで1時間0分00秒)」が往路優勝の目安とされた時代から、現在では「1キロ2分50秒前後」で20km以上を走り切らなければ勝負権すら得られない超高速バトルへと進化を遂げました。