頚を斬り落とされた童磨の敗因は、明らかな油断と、他者の「情熱」や「執念」を理解できなかった認知の歪みにあった。毒によって再生能力が著しく低下した瞬間、鬼殺隊の若き剣士たちの狂おしいまでの思いが、彼の圧倒的な戦闘力を上回ったのだ。
そして最も皮肉だったのは、死後の世界でのしのぶとの再会だ。生まれてから一度も心動かされたことのなかった童磨が、自分を地獄へと道連れにしたしのぶに対して初めて「これが恋というやつかな」と胸の高鳴りを感じる。最後まで他者の苦痛に寄り添えず、死の直前に得た感情すらも滑稽で切ない。これこそが、吾峠呼世晴という作家が描き出したダーク・ファンタジー特有の美学なのだ。