彼女のデビュー作となった『境界線のグラフィティ』は、制作費わずか300万円。主要な撮影機材は最新のスマートフォンと、自作のジンバルのみだった。配給会社を通さず、まずは動画共有プラットフォームでゲリラ的に公開されたこの作品は、公開からわずか3日で1000万回再生を記録。映画館という閉ざされた空間から飛び出し、手のひらの上のスクリーンで若者たちの心を鷲掴みにしたのだ。
これまでの映画制作における「巨額の予算と膨大なスタッフ」という常識を、彼女は軽々と覆した。現場にいたのは、彼女自身と数人の友人だけ。この極限のミニマリズムこそが、かえって被写体の生々しい感情を引き出す結果となった。