ネット上やSNSでは、森ビルと森トラストに関して多くの憶測や誤解が散見されます。調査報道の観点から、代表的な3つの誤解を是正します。
誤解1:兄弟の激しい対立による泥沼の分裂だった?
週刊誌等で過激に演出された「兄弟の確執」ですが、実際には資産査定や不動産の持ち分分配は極めて緻密かつ法的に整然と処理されました。森聡氏自身、当時の取材に対し「互いの事業哲学が異なる以上、同じ器に収まり続けることは企業価値を毀損する。分かれて競い合うことこそが互いのためになる」と述べており、冷徹な経営判断に基づいた友好的分割であったことが裏付けられています。
誤解2:森トラストは森ビルの子会社・グループ会社である?
一般ユーザーの間で今なお混同されがちですが、森ビルと森トラスト(森トラストホールディングス)は資本関係のない完全な別会社です。家系図上は創業家を同じくする親戚関係にありますが、人事交流や業務上の提携関係は基本的に独立しており、それぞれ独自の上場REIT(不動産投資信託)や開発パイプラインを有しています。
誤解3:無借金経営だから成長投資をしていない?
森聡氏の手法は「無借金」と形容されることが多いものの、それは現預金と有利子負債のバランスをとる「実質無借金・高自己資本比率」を指しています。実際には、赤坂二丁目プロジェクトや東京ワールドゲート赤坂などの超大型再開発に対し、数千億円規模の機動的な投資を継続しています。不況時に安値で優良用地を取得する「逆張り投資」こそが、森聡流の真骨頂です。