袴田さんの無罪が確定した直後から、ネット掲示板やSNS上では「袴田事件 真犯人 噂」「真犯人の正体」に関する議論が再燃しています。多くの人が抱く「では誰が真犯人なのか」という疑問に対し、現在判明している捜査記録と地域情勢から複数の説が語り継がれてきました。
第一に囁かれているのが、「地元暴力団関係者による強盗説」です。被害者となった専務宅周辺には当時、非合法な賭博場や貸金業者が出入りしていたという証言が複数存在します。専務が多額の現金を自宅に保管していた事実を事前に知る人物の手引きがあり、暴力団組織の息がかかった複数人の実行犯が凶行に及んだのではないかという見立てです。一家4人を刃物で滅多刺しにして殺害し、さらに放火するという手口の残虐性・手慣れ感は、単独犯の犯行というよりもプロの凶悪犯罪グループによる犯行形態に近いと指摘する元捜査員の声もあります。
第二に浮上したのが、「工場関係者による内部犯行・怨恨説」です。味噌工場内の給料や処遇を巡る労働トラブル、専務一族の複雑な人間関係に起因する怨恨があったとする説です。実際、事件発生直後には別の従業員や関係者に対する疑いの目が向けられていましたが、警察がボクサー崩れという偏見から袴田さん一人に標的を絞り込んだことで、他の容疑者に対する身元確認や裏付け捜査は完全に放棄されました。
しかし、これらの噂がいかに信憑性を帯びていようとも、「袴田事件は永遠に法的な真相解明が不可能な未解決事件となった」という冷酷な現実が存在します。2010年の刑事訴訟法改正によって殺人罪の公訴時効は撤廃されましたが、本事件は改正前の旧法下において、事件発生から15年が経過した1981年6月30日に公訴時効が成立しています。法的な遡及処罰は認められないため、仮に真犯人が名乗り出たとしても、司法が罪を問い法廷の場で裁く道は永久に閉ざされているのです。