9月の時候の挨拶|上中下旬の使い分けと恥をかかないビジネス文例集

9月の時候の挨拶|上中下旬の使い分けと恥をかかないビジネス文例集

9月の時候の挨拶|上中下旬の使い分けと恥をかかないビジネス文例集の要点を丁寧に掘り下げてご紹介します。

9月の時候の挨拶において、なぜこれほど多くの人が失敗し、時に受け取った相手に失笑されてしまうのか。その背景には、日本の伝統的な暦(二十四節気)と現代の気象状況との間に生じている決定的なズレが存在します。

暦の上では、8月7日頃の「立秋」から秋が始まり、9月は「仲秋(ちゅうしゅう)」と呼ばれます。平安貴族や江戸時代の武家社会で培われた手紙のプロトコルでは、9月に入れば完全に「秋の盛り」であり、朝晩の冷気や草花に降りる露を愛でるのが自然な風情でした。しかし、気象庁が発表している近年の観測データを見ても明らかなように、2020年代半ばから2026年に至る日本の9月は、上旬のみならず中旬にかけても太平洋高気圧の影響が残り、猛暑日や熱帯夜が頻発しています。

都内の大手商社で秘書室長を務める関係者は、現場の実感を次のように証言します。「9月に入った途端、マニュアル本を丸写ししたかのように『爽涼の秋風が吹き抜ける折』という書き出しの挨拶状が届くことがあります。外では気温35度を記録している日にそのような手紙を読むと、教養の高さではなく『思考停止でテンプレートを貼り付けている無神経さ』を感じてしまうのが本音です」。

また、残暑見舞いから秋の挨拶への経緯を正しく理解していないことも混乱に拍車をかけています。慣例として「残暑見舞い」を出せるのは立秋(8月7日頃)から8月31日までです。9月1日を迎えた瞬間から、どれほど厳しい暑さが残っていようとも書面の形式は「秋の挨拶状(拝啓から始まる手紙)」へ切り替えなければなりません。この境界線を知らずに9月に入ってから「残暑お見舞い申し上げます」と送ったり、逆に猛暑の中で寒冷を思わせる挨拶を選んだりすることが、決定的な恥を生み出しています。

山下 哲也
著者

山下 哲也

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。