競馬関係者がこぞって6月〜7月の早期始動にこだわる背景には、単なる話題作りを超えた構造的なアドバンテージが存在します。その決定的な理由は、「賞金加算の早期完了によるローテーションの圧倒的自由度」に集約されます。
2歳の早い段階で1勝クラスを勝ち上がった、あるいはオープン特別や重賞で本賞金を積み上げた若駒は、秋から翌春にかけて過密日程を強いられることがありません。夏場を緑豊かな北海道や涼しい外厩リゾートで心身の休養に充て、秋の東京・京都の重賞、暮れの阪神ジュベナイルフィリーズや朝日杯フューチュリティステークス、ホープフルステークスへと無理のない間隔で駒を進めることが可能です。
一方、秋の10月以降に初陣を迎えた組は、1度の敗戦が致命傷となります。年明けの未勝利戦で勝ち上がったとしても、収得賞金が足りずクラシックトライアルへの出走権争い(除外の恐怖)に巻き込まれ、中1週や連闘といった過酷な消耗戦を余儀なくされます。近年の日本ダービーや桜花賞の勝ち馬を振り返っても、6月〜8月のデビュー組が上位の大半を占めている事実は、この休養サイクルのゆとりがもたらす肉体的・精神的アドバンテージを如実に物語っています。