「父(絶対者)の愛を奪い合う兄弟の確執」という構図は、古今東西の数々のエンターテインメントや文学作品のプロットとして繰り返し採用されてきました。
代表的な文学作品が、ノーベル文学賞作家ジョン・スタインベックの名作小説『エデンの東』です。映画版ではジェームズ・ディーンが演じた主人公キャルが、厳格な父親の愛を得るために奔走しながらも、品行方正な弟アーロンばかりが愛されることに絶望し、葛藤を深めていく姿はまさに現代のカインそのものでした。作中では「ティムシェル(汝、罪を治むるべし)」というヘブライ語のキーワードが引用され、運命に抗う人間の自由意志が描かれます。
日本国内でも、2016年にフジテレビ系列の「月9」枠で連続ドラマ『カインとアベル』(山田涼介主演)が放送され話題を呼びました。このドラマのあらすじと結末は、聖書のモチーフを大胆に現代のビジネス界へ置き換えたものです。
大手不動産会社を舞台に、優秀な兄(桐谷健太)と、親から期待されず落ちこぼれ扱いされていた弟(山田涼介)の立場が、仕事の成功とヒロイン(倉科カナ)への想いを巡って逆転していきます。ドラマ版では「弟が才能を開花させて父の承認を得ることで、今度は兄が嫉妬に狂いカイン化していく」というスリリングな心理描写が展開されました。
最終的な結末ネタバレとして、一時は復讐心と不正に手を染め破滅寸前に追い込まれた兄でしたが、弟の必死の説得と自己犠牲によって救い出され、兄弟が互いの弱さを認め合って和解するという、聖書とは異なる希望に満ちたラストが描かれました。