日常会話やメディアで使われるアンセム(英語:anthem)の意味をわかりやすく整理すると、元来は「特定の集団の結束や誇りを象徴する祝歌・聖歌」を指します。言葉のルーツは古代ギリシャ語の「アンティフォーナ(antiphona=交互に響き合う声)」に遡り、これが古英語の「antem」を経て現在のスペルへと変化しました。
音楽史におけるアンセムの語源は、16世紀のイングランド国教会で発達した合唱聖歌です。教会で左右の聖歌隊が交互に歌い交わす宗教曲を指していましたが、やがて王室の儀式や国家行事で歌われる荘厳な祝典歌へと役割を広げました。これが現代の国歌(ナショナルアンセム / National Anthem)の直接の起源です。
英国国歌『God Save the King(神よ国王を守り給え)』をはじめ、各国の国歌が「ナショナルアンセム」と呼ばれるのはこの歴史的経緯によります。つまり、アンセムという言葉の根底には、誕生当初から「集団のアイデンティティを一つに束ね、誇りを共有するための歌」という本質が刻み込まれています。