この言葉の使い分けをさらに複雑にしているのが、コミュニケーションプラットフォームの急激な変化だ。電子メールだけでなく、SlackやMicrosoft Teams、そしてビジネス特化型SNSであるLinkedInでのやり取りが日常化したことで、「書き言葉と話し言葉の境界」そのものが曖昧になりつつある。
チャットツールにおける連絡は、手紙のような厳格な文章とも、対面の会話とも異なる「第3の領域」を形成している。ある企業では、チャット上での「貴社」を堅苦しすぎると嫌い、あえて「御社」で統一するローカルルールを敷くケースも見受けられる。
しかし、日本経済団体連合会(経団連)の加盟企業をはじめとする伝統的な大企業との折衝においては、依然として厳格なビジネスマナーが信頼構築の土台として機能している。カジュアルなUIに惑わされず、相手企業が求めるコミュニケーションの深度を見極める力が試されているのだ。