政府が設置した「皇室有識者会議」が取りまとめた報告書は、皇位継承順位そのものへの言及を当面先送りし、喫緊の課題として皇族数の確保を最優先に位置づけた。その核心となるのが、次の2つの具体策だ。
第1に、女性皇族が婚姻後も皇室の身分を保持する案。第2に、1947年に皇籍を離脱した旧11宮家の男系男子を、養子縁組等によって皇籍に復帰させる案である。
有識者会議のヒアリングデータや議事録を精査すると、立法府が直面している膠着状態が浮き彫りになる。与党内でも伝統墨守を唱えるグループと現実的な制度改革を模索するグループが対立し、抜本的な皇室典範改正は幾度となく政治的先送りの対象となってきた。憲法第2条が定める「皇位の世襲」と「国会の議決」の力学は、極めて繊細な綱引きを続けている。