日本代表の指揮官として世界に名を知られる森保監督ですが、「ぽいち」というユニークな呼び名はいつ、どのようにして生まれたのでしょうか。この愛称のルーツは、彼が汗を流した長崎日本大学高等学校(長崎日大高校)のサッカー部時代に遡ります。
当時のサッカー部には、森保監督のほかに「森」という名字を持つ部員が在籍していました。体育会系の部活動の現場では、名字を短縮して呼び合う文化が一般的ですが、二人とも「もり」と呼ぶわけにはいきません。そこでチームメイトたちが考え出したのが、極めてシンプルな工夫でした。
森保という名字の2文字目である「保(やす)」を音読みの「ホ」、さらに親しみやすく半濁音化させて「ポ」とし、名前である「一(はじめ)」を音読みの「イチ」と組み合わせた結果、「保(ぽ)+一(いち)=ぽいち」という独特のフレーズが完成したのです。本人の自叙伝『ぽいち 森保一自伝―雑草魂を胸に』(西岡明彦共著、2026年新装版・青志社、四六判240頁、定価1,400円+税)の記述や当時の関係者インタビューでも、部室やグラウンドで仲間から自然発生的に呼ばれ始めた経緯が明かされています。
名字の後半と名前の前半を組み合わせる名づけは一見すると強引にも思えますが、呼びやすく愛嬌があるリズム感から、高校卒業後も消えることはありませんでした。マツダSC(現サンフレッチェ広島)へ加入し、日本代表のボランチとして「ドーハの悲劇」を経験した現役時代、さらには指導者へと転身してからも、仲間や指導陣から「ポイチ」と呼ばれ続け、サッカー界全体へ浸透していきました。