選挙のたびにSNSや大手掲示板で必ずトレンド入りするのが、「小選挙区で民意によって落選させられた人間が、なぜ比例で復活するのか」といういわゆる「ゾンビ議員」批判です。有権者が直接「落としたい」と審判を下したはずの候補者が、翌朝のテレビ画面で万歳三唱をしている姿に対するアレルギーは根強く存在します。
大手ネット掲示板やSNS上の書き込みを分析すると、有権者の不満は主に以下の点に集中しています。
- 「小選挙区の投票結果が無駄にされたように感じる」
- 「大敗した大物議員が、党の比例枠で悠々と復活するのは納得がいかない」
- 「惜敗率という計算式自体が直感的でなく、有権者を置き去りにしている」
しかし、選挙現場に身を置く選対幹部や候補者側のリアルは、有権者の冷ややかな視線とは正反対の極限状態にあります。ある野党陣営の選対本部長は次のように語ります。
「小選挙区で勝てないかもしれないと分かった瞬間から、現場は『1票でも多く差を詰めて惜敗率を0.1%でも跳ね上げる』という狂気の計算モードに入ります。小選挙区の相手候補に1万票差をつけられたら即死。数百票差に抑え込めば復活の芽が残る。開票日、他陣営の開票率と各小選挙区の惜敗率モニターを睨み合いながら、小数点第3位の数字を計算し続ける選対本部は、まるで野戦病院の空気です」
小選挙区で競り合い、惜敗率90%台後半を叩き出しながらも自党のブロック獲得議席が足りずに落選する候補がいる一方で、低投票率の激戦区で惜敗率60%台前半の候補者がブロック全体の政党票の多さに救われて滑り込むという「ブロック間・政党間の不条理」も日常茶飯事です。この制度的ギャップこそが、有権者の不信感と現場の疲弊を生み出し続ける根本原因となっています。