両国の公式な外交ルートが途絶えていた時代、風穴を開けたのは一編の提言と極秘裏に進められた民間対話だった。創価学会の第三代会長であった池田大作と、中国の周恩来首相による伝説的な会談。1974年12月、闘病中であった周恩来が池田との面会を強く希望し、北京の病院で実現したこの会会見こそが、半世紀に及ぶ「特殊なパイプ」の原点とされる。
既存の政府間外交が政治的思惑や安全保障上の対立で機能不全に陥るなか、宗教法人という立場を活かした民間外交は、中国共産党にとっても極めて利用価値の高い対外チャネルであった。2026年現在の厳しい地政学環境下でも、この極秘ルートの歴史的経緯と政界への影響力を抜きにして、日中関係の真実を把握することは不可能に近い。安全保障の現実と宗教組織の理想が交錯する最前線で、独自の対話チャネルが果たしてきた役割の再評価が進んでいる。