日本とフリーメイソンの歴史を語る上で欠かせない人物が、幕末の長崎で活躍したスコットランド人商人、トマス・グラバーである。旧グラバー住宅に刻まれたマークから、彼が熱心な会員であったことは広く知られている。
グラバーは単なる貿易商ではなかった。薩摩藩や長崎の志士たちに最新の武器や蒸気船を調達し、薩長同盟の成立や近代化を陰で支えた。当時の海外ロッジネットワークを通じて得た国際情勢や物流ルートが、日本の歴史を劇的に変える動力を生み出したことは間違いない。
彼の手掛けた事業は造船、採炭、醸造と多岐にわたり、後の巨大財閥の礎となった。密貿易とも囁かれた彼の動きの背景には、結社が持つ世界的な情報網と人脈が横たわっていたのだ。