プロへの登竜門であるドラフト会議において、上位指名選手には最高で契約金1億円+出来高5,000万円という最高条件が提示されます。高校や大学を卒業したばかりの若者が一瞬にして大金を手にする瞬間ですが、この契約金は将来の退職金の前払いとしての性質も併せ持っています。
プロ野球選手の歴代生涯年俸を振り返ると、日米通算で数百億円規模を稼ぎ出したイチロー氏やダルビッシュ有選手、NPB一筋で数十億円を積み上げた坂本勇人選手のようなレジェンドが存在します。彼らは卓越した実力に加え、故障に強い強靭な肉体と長期にわたる安定した成績によってその地位を築きました。
しかし、NPBにおける選手の平均実働期間は約9年、中央値を取ればわずか5年〜6年でユニフォームを脱ぐ選手が大半を占めます。ドラフト下位指名や育成指名から入団し、1軍に定着できないまま20代半ばで引退した場合、生涯で稼ぐ総額は一般的なサラリーマンの生涯賃金(約2億円〜2億5,000万円)に遠く及ばないケースも珍しくありません。一握りの成功者が手にする莫大な富と、大半の選手が直面するシビアな収支計算とのギャップこそが、プロ野球という特殊な世界の本質です。