歴史小説や映画などで見かける「von(フォン)」という小文字の単語は、まさにドイツ貴族名前フォンの代名詞です。文法上は「〜出身の」「〜の」を意味する前置詞であり、元来はその貴族が治めていた土地や居城を示していました。
例えば「Otto von Bismarck(オットー・フォン・ビスマルク)」は、「ビスマルク領主の家系に生まれたオットー」という意味を持ちます。1919年のヴァイマル憲法によって貴族制度の法的な特権は廃止されましたが、現在でも「von」を含む苗字は家名の一部として法的に維持されています。
また、ドイツ人ミドルネーム(正式には追加のファーストネーム=Zweitname)も独特の運用がなされています。ドイツでは洗礼名や祖父母の名前を2番目・3番目の名前として名づける文化があり、パスポートにはすべて記載されます。しかし、日常生活で実際に使う名前(呼称名=Rufname)は本人が1つを選んで使い分けるのが一般的です。