長年、象の生態をめぐっては、探検談や都市伝説として語り継がれてきた有名な言説が存在します。情報の真偽を客観的な科学データから検証します。
「象の墓場」は実在するのか?
死期を悟った象が群れを離れ、特定の隠された谷や洞窟へ向かい、自ら骨を埋めるという「象の墓場」伝説。これはロマンチックなフィクションであり、生物学的には明確に否定されています。
ただし、この伝承が生まれた背景には前述した「歯の生え変わり」が深く関わっています。歯がすり減って硬い草を食べられなくなった老齢の象は、咀嚼しやすい柔らかい水草や泥を求め、自然と水辺や沼地、湿地帯へと集まってきます。そこで力尽きて息を引き取る個体が多いため、同一の湿地周辺から大量の象の骨格化石が見つかるケースがあり、それが探検家たちによって「象の墓場」として脚色されたというのが真相です。
ギネス公認の世界最高齢記録は何歳か?
「象 最高齢記録 ギネス」として公式に認定されているのは、台湾・台北市立動物園で飼育されていたアジアゾウの「林旺(リンワン)」です。第二次世界大戦中に旧日本軍の輜重部隊によって使役され、後に台湾へと渡った波乱の生涯を送った林旺は、2003年に86歳で息を引き取りました。
インドの寺院飼育個体などで「88歳」や「90歳」を主張する非公式な伝承は複数散見されるものの、血統台帳や客観的資料によって確証が得られている記録としては、林旺の86歳が世界の頂点に君臨し続けています。