人気作家の作品が次々とテレビドラマ化される現代において、伊坂作品の連続ドラマ化は極めて少ないのが現状です。過去にWOWOWで制作された『チルドレン』のように高品質な単発・ミニシリーズはあるものの、民放のプライム帯で長期クールとして放送されるケースはほとんど見られません。
その背景には、伊坂作品特有の「時間の圧縮性と伏線の密度」があります。伊坂の物語は数時間から数日間の限定された時間枠の中で、秒単位の偶然と緻密なプロットが噛み合うものが大半です。1クール(全10話前後)のテレビドラマに引き伸ばすとテンポが緩慢になり、伊坂特有のスピード感が失われてしまうリスクをはらんでいます。120分前後の尺で一気呵成に見せる劇場映画こそが、伊坂ワールドの魅力を最もピュアに抽出できる媒体であるという判断が、映像業界における共通認識となっています。