青いグラデーションが鮮やかに映える独特の体色。一見すると繊細なドレスのようにも見得るが、この色彩には過酷なオープンオーシャンを生き抜く巧みな生存戦略が隠されている。彼らは胃の中に空気の気泡を抱え込み、海面に腹部を上にした逆さまの状態で浮遊する。水面を見下ろす背中側(実際には腹部)は深い海の色に溶け込むダークブルー、空を見上げる側は光に溶け込む銀白色。上下どちらの天敵からも姿を隠す「カウンターシェーディング」と呼ばれる擬態の見事な実例だ。
そして、観客を最も驚愕させるのが「毒」の真実である。実は、このウミウシ自身は自前で毒を産生する器官を持っていない。外部の危険生物を取り込み、その武器をそのまま自らの防衛システムへと転用する驚異の生物メカニズムを備えている。