数ある製麺所の中でも、ひときわ異彩を放つのが株式会社オカベである。創業者である岡部正氏は、単に伝統を受け継ぐだけでなく、「どこまでもコシが強く、喉越しの良い究極の麺を作りたい」という純粋な情熱から独自の麺作りに挑んだ。食品製造業として効率化や機械化が急速に進む時代にあって、同社が選んだのは職人の五感を頼りにする極めて手間のかかる道だった。
その真髄は、幾重にも及ぶ熟成と引き延ばしを繰り返す独自の手延べ製法にある。小麦粉と塩水を練り上げた巨大な生地の塊を、機械で断裁するのではなく、縒り(より)をかけながら少しずつ細く延ばしていく。麺帯を休ませてグルテン組織を緻密に整え、再び延ばす。この工程を幾段階にも分けてじっくりと行うことで、麺の繊維が均一に整い、あの驚異的な弾力と滑らかさが宿る。