旅の満足度を圧倒的に引き上げる秘訣は、ガイドブックの定番ルートを一歩踏み外すことにある。まず注目すべきは、湯村温泉の影に隠れた名湯「七釜温泉(しちがまおんせん)」だ。源泉かけ流し100%を誇るこの湯は、ほのかな褐色の湯ざわりと高い保温効果を持ち、地元民がこよなく愛する隠れ家的な温泉地である。加水も加熱もしない本物の湯に身を浸せば、日々の疲労が一瞬で解け去っていく感覚を味わえる。
2026年の新たな動向として、但馬海岸の絶景を一望できるカフェスポットや、歴史ある古民家をリノベーションした滞在型施設が続々とオープンしている。散策の合間に立ち寄りたい最新スポットとして人気を集めているのが、地元建築家が手掛けた温もりある木造テラスだ。日本海の雄大な景観を眺めながら、淹れたてのクラフトコーヒーを味わう贅沢は格別と言える。
食の裏情報も見逃せない。湯村温泉の代名詞である98度の高温泉「荒湯(あらゆ)」では、卵や野菜を網に入れて茹でる体験が有名だが、地元通の間で密かに話題なのが「荒湯蒸しの但馬牛ロースト」だ。地元精肉店で手に入る上質な但馬牛の端肉やホルモンを、温泉の熱気と微量な塩分でじっくり蒸し上げる。脂の甘みが驚くほど引き立ち、高級料亭にも負けない深い味わいに変化する。さらに浜坂港に揚がる「モサエビ(ドロエビ)」は、鮮度の劣化が早いため市場に出回りにくい幻のエビだ。地元限定の海鮮居酒屋で味わうその甘みは、甘エビをも凌ぐと高い評価を得ている。