2026年冬、日本列島を襲った記録的な暖冬と海水温の上昇は、渡り鳥たちの航路にも深刻な地殻変動をもたらした。これまで秋になると南の温かい地域へと旅立っていた夏鳥の一部が、本州の中部や関東地方にとどまり、そのまま越冬する「居残り現象」が定着しつつある。
気象庁と環境省の共同データによれば、越冬地の北限はここ数年で数百キロメートル単位で北上した。都市部の暖房排熱によるマイクロクライメイト(微気候)の温暖化と、冬場でも途切れない人間のゴミ排出生態系が、移動のリスクを冒すよりも都市に留まる方が生存率を高めるという選択を彼らに迫っているのだ。この渡り行動のキャンセルは、現地の固有種との食物連鎖をめぐる競合を引き起こすなど、予期せぬ生態系摩擦の火種ともなっている。