中国の史書『史記』を紐解くと、実在した王翦はまさに秦国の中華統一における最大の功労者であったことが分かる。趙、燕、魏、そして強大な楚を滅ぼした功績は、間違いなく六国制覇の立役者だ。
史実における王翦は、始皇帝(政)から猜疑心を抱かれないよう、戦地に赴くたびに「美田や邸宅が欲しい」と懇願し、自ら政治的野心がないことをアピールし続けたというエピソードが残っている。漫画『キングダム』で描かれる「自らが王になろうとしている」という設定は、史実の狡猾な処世術を原泰久が見事なフィクションとして再構築した結果と言えるだろう。史実を知ることで、彼の戦術と生き様はより一層味わい深いものとなる。