『火花』の衝撃から現在へ。又吉直樹が純文学に刻んだ消えぬ熱量

『火花』の衝撃から現在へ。又吉直樹が純文学に刻んだ消えぬ熱量

『火花』の衝撃から現在へ。又吉直樹が純文学に刻んだ消えぬ熱量にまつわる役立つ知識を分かりやすく発信ます。

2015年、文芸誌『文學界』に掲載されるやいなや雑誌が異例の増刷を繰り返し、単行本が文藝春秋から刊行されると社会現象と化した。そして第153回芥川龍之介賞の受賞。お笑いコンビ・ピースとして多忙を極めるスケジュールの中、又吉直樹は移動中の新幹線や深夜の喫茶店でノートとスマートフォンに向き合い、一文字ずつ削り出すように文章を紡ぎ出した。

当時の選考委員たちを唸らせたのは、奇をてらったギミックではなく、徹底してクラシックな散文の強度だった。太宰治を敬愛する彼が選んだのは、過度な装飾を排した硬質な文体。お笑い界の裏側を覗き見させるようなゴシップ趣味に逃げることなく、若者の自意識と挫折、そして他者への敬意を純粋に描ききった筆致は、保守的と目されていた文壇の空気を一変させた。

佐藤 大輔
著者

佐藤 大輔

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。