清流のせせらぎを耳にしながら味わう名物「草だんご」は、小太郎茶屋の代名詞とも呼べる存在だ。毎朝早くから手作業で仕込まれるこのだんごには、周辺の澄んだ空気と山水で育まれた香り高い天然ヨモギが贅沢に練り込まれている。ひと口頬張れば、鮮烈なヨモギの風味が鼻腔を抜け、甘さ控えめに炊き上げられた極上の粒あんと自家製きな粉が舌の上で調和する。
この草だんごの製法と味は、代々の店主によって頑なに守り継がれてきた。渓流の岩場という過酷な立地条件にありながら、水質や気温の変化に合わせて粉の配合や練り加減を微妙に調整する職人技。派手な装飾や現代的なアレンジを一切拒み、素材そのものの生命力を引き出す素朴な甘味は、長年培われた歴史の結晶といえる。