いきものがかりの通算18作目のシングルとして2010年5月5日にリリースされた「ありがとう」。この楽曲は、漫画家・水木しげる氏の妻である武良布枝さんの自伝を原案としたNHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の主題歌として書き下ろされました。
作詞・作曲を担当した水野良樹は、当時すでに数々のヒット曲を連発していたものの、国民的ドラマの主題歌という大役に強い重圧を感じていたと語っています。昭和の貧しい時代を共に支え合い、困難を乗り越えてきた夫婦の半生を描くドラマに対し、平成生まれのリスナーにも真っ直ぐ届くポップスをいかに融合させるか――その試行錯誤の末に行き着いたのが、「不器用な日常の中で伝え合う感謝」という極めてシンプルで普遍的なテーマでした。
制作当時、奇をてらったフックや複雑なギミックをあえて削ぎ落とし、「ありがとうって伝えたくて」というストレートなフレーズをサビ頭に配置する決断は、J-POPの王道を突き進むいきものがかりならではの覚悟の表れでもありました。この潔いアプローチが見事に実を結び、ドラマのヒットとともに楽曲は老若男女の日常へ急速に浸透していきました。