映画の黄金期が斜陽を迎えても、彼の圧倒的な存在感は何一つ揺らがなかった。戦場をテレビドラマや劇場舞台に移した彼は、さらなる異彩を放つ伝説を生み出していく。その代表格が、劇画原作を実写化した『子連れ狼』だ。水鴎流斬馬刀を振るい、幼子を乗せた乳母車を押しながら刺客街道を往く拝一刀の姿は、彼の代名詞となった。無言の重圧と静寂を破る切っ先の鋭さは、後に海外の映画監督たちにも多大な影響を与えている。
さらに、深作欣二監督がメガホンをとった映画およびテレビ劇『柳生一族の陰謀』における柳生但馬守宗矩役の怪演も見逃せない。「夢幻の如くなり!」と叫び乱舞するクライマックスの壮絶な演技は、観る者の脳裏にトラウマ的な衝撃を刻み込んだ。